2014年9月18日木曜日

(2013年7月8日)テニスに関するドーピング問題

12回グランドスラム王者のラファエル・ナダルは薬物検査で失敗をしたことがありませんが、彼のキャリアは常にドーピングの噂が付きまとっています。

その疑惑 テニスのファンは大方ご存じであろう。ブロゴスフィア(ブログや掲示板など)からその疑惑が広がっていきました。ESPN the Magazine、Sports Illustrated、The Bleacher Reportなど過去にその話題をことを取り上げたことがあります。
テニスは現在、ナダルとドーピングの関連性を公然と追及しています。 匿名ブログの「Tennis Has a Steroid Problem」では27歳のナダルに対し証拠を長々と綴っています。

去年フランスの風刺的なテレビ番組のコントで、ナダルが車のガソリンタンクに排泄し、ペン型のステロイド針を使った場面を描写しました。
偉大なる元テニス選手のヤニック・ノアは11月に新聞のコラムで、「すべてのスペイン人アスリートはドーピングをしていると」主張しました。
引退したベルギーの元選手、クリストファー・ロクスもナダルが2012年全仏オープンを圧倒していたのに、2週間後のウィンブルドンで負傷を理由に敗退したことについて疑問視しました。

これは魔女狩りか?そうとも思える箇所がいくつかあります。
陰謀理論家たちはいたるところで、次のようなことを指摘しています。

●大きな二頭筋
●胡散臭いケガ
●髪の毛の損失
●オリンピックの欠場
●スペインがドーピング違反の常習犯
●類まれなスタミナ



疑惑を書き立てたところで、ナダルのレガシーをさほど傷つけるようなことはないでしょう。彼はただ、大ドーピング時代に引っかかっただけですから。

コメントを求めても応じなかったナダルは、禁止薬物使用したことは否定しました。
ナダルや他のトップ選手への疑惑を払拭するために、テニスは浄化する必要性があります。

テニスの反ドーピング体制が弱いとされ、薬物検査で失敗したことがないと言っても、説得力に欠ける部分があるとよく言われています。
あのランス・アームストロングも薬物検査で陽性反応を示したことは一度もありませんが、彼はプロスポーツで最も洗練された薬物組織を運営していました。
90年代野球の復活劇は、ホームランだけではなくステロイドのお蔭で加速しました。
どちらのスポーツも沢山の薬物を貪り注射し、ドーピング違反者たちはトップにかけ上りあげていました。

現在の男子テニスでは4人の選手が独占し、前例のない5時間の5セットマッチで動き続けいます。国際テニス連盟の反ドーピング責任者は次のようなことを明かしました:「説得力のない監督業務と透明性の欠如でドーピングの疑惑が膨れ上がり責められます。」

アームストロングの事件後、現在3位のロジャー・フェデラーがこのことに関して、スポーツがクリーンと考えることは「甘い」だろうと言及しました。ランキングトップのノバク・ジョコビッチとアンディ・マレーは血液検査をもっと行うべきだと主張しています。
疑惑が付きまとい嫌気がさしているナダルは、透明性が欲しいと主張しました。
3月のある日曜日の朝、ITFの反ドーピング責任者のスチュワート・ミラー氏はソフィテルニューヨークのロビーで座っていました。スチュワート・ミラー氏は黒のVネックTシャツとカーキ色のパンツを着て、背が高く引き締まった感じの007俳優ダニエル・クレイグのようでした。テニスの反ドーピング体制について文句・苦情がある時、彼の名前がよく登場します。

フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレーが「もっと薬物検査をするべき」と唱えていることについて、ミラー氏に伺うと、彼は「両手を広げて歓迎します。」と言いました。「それはっても素晴らしいことですよ。皆、クリーンスポーツを求めていますから」
2006年から反ドーピング管理を指揮してきたミラー氏は、質問をかみ砕いて、バラバラにし、面白味のない専門用語一杯の答えを返す傾向があります。彼は個人のケースについてはコメントできないと言いました。

よく言われるミラー氏への批判文句は、ドーピング管理が矛盾しており、効率のよい技術を試行せず、公開発表をしないで腹立たしいことが呼び物になっています。全体的に機能していないように運営されており、匿名ブロガー「Tennis Has a Steroid Problem」によると「ドーピングはあまり深く追求しないほうがよいという支配的な意向があるように思える。」と指摘しています。

現在ドーピング検査の方法:選手たちは大きく分かれて二つのタイプの検査を行っています。グランドスラム期間中に行われる大会内検査(負けた時のみ検査されると報告されている)と、大会外検査とあります。

慣例上にスポーツは両検査とも、ステロイド系が検出できる尿検査だけに頼ってきました。人成長ホルモン(HGH)や他の洗練された血液ドーピングを特定する血液検査は、検査費用が高額で採血の有効期限短い欠点があります。

ミラー氏は、大会外検査ををもっと増やすべき、そしてもっと大会外での血液検査を増やすことによって、効率的に薬物違反者を捕まえることができると話しました。
2012年テニスは2185回の検査を実施、大会外血液検査はたった63回だけです。それは2011年21回よりも多いものの、大会外血液検査は少なすぎです。サイクリングと比較すると、2011年13745回の検査が実施され、大会外血液検査は3314回行われました。

今年テニスも生態パスポートを導入し、サイクリングのように効率的に検査ができると証明しました。これら生体パスポートは選手たちの血液プロフィールを記録し、生理学的な変化を検出することができます。薬物は体内から洗い流されていても、科学の力で怪しい部分を見つけれるでしょう。 残念なことに、生態ポスポートは効率的に機能するまでデーター採取が必要であり2・3年かかると言われています。


大会外検査の主な問題は、とにかく真面目に捉えない選手がが多いとのこと。2011年セリーナ・ウィリアムはロサンゼルスの自宅で、部外者が侵入してきたと勘違いし、自宅のシェルターに逃げ込みました。部外者ではなくそれは薬物検査員でした。
ITFのデーターによると、2010年と2011年ウィリアムは大会外検査を一つも受けていません。

2012年、ジョコビッチ、マレー、フェデラーは7回以下の大会内検査と、3回以下の大会外検査を受けましたが、それらは尿検査か血液検査かは示されていません。大会外検査に関して、ナダルのような負傷中のトップ選手は、ターゲットになる理由があることでしょう。2012年ナダルは稀にも7回以上の大会外検査を受けました。

もう一点、よく言われる不満な点は、もし検査で陽性反応が示しても、すぐに公表しない又は全く公表しないということです。審判所で有罪が確定しても、大抵の場合6か月間以内の大会出場禁止で収まり、選手たちは薬物検査で失敗してもファン達に知られることはありません。

この隠ぺいシステムがドーピング疑惑を最高に募らせるのです。テニス視聴者達は、2009年全仏オープンで敗退した後ウィンブルドンも欠場や、2012年7月から2013年まで7か月間ツアーから離れたナダルが、これらが決して公表しない「サイレント・ドーピング・バン」なのではないかと疑っているのです。

ランキング733位のフェルナンド・ロムボリ選手の場合を考えてみましょう。5月、ITFはブラジルのロムボリ選手を禁止薬物違反を犯したことで8か月半の出場禁止の可能性があると発表しました。。そして同じ会見でロムボリ選手は復帰すると発表もしました。9月に彼は陽性反応を示したので、自主的に一時出場停止を選び、彼は判定を下される前に自主的な処罰に努めました。

「早々ドーピング違反をした選手の名前を発表するオプションはあります」「選手たちは違反を犯していないと証明を提示するプロセスの段階で公表してしまうと、世間では有罪が確定するまで無罪だとは捉えることはできず、無罪の選手でも違反者としてレッテルが貼られる危険性があります。」とミラー氏は語りました。
薬物はテニスにとって珍しいものではありません。ジョン・マッケンローは6年間ステロイドと知らずにとっていました。

アンドレ・アガシは1997年、メセドリンによる陽性反応が出たが、彼はアシスタントの飲んでいた炭酸飲料水を間違えて一口飲んだと説明し、管理団体が検査結果を捨てたと明かしました。

2009年、ITF反ドーピング審判でリーシャル・ガスケがナイトクラブで女性とキスをしている間、コカインを偶然に摂取したと決定しました。

これら驚くような事例の中で、管理団体が犯罪事件を嗅ぎ分け、決定的な証拠が明らかにされる可能性もあります。
27歳のアメリカのテニス選手ウェイン・オデスニックは、2010年オーストラリアにHGH(ヒト成長ホルモン)を運び捕まりました。彼は薬物検査で陽性反応を示しませんでしたが、2年間の出場停止を言い渡されました。その後彼はITFに大いに貢献したということで罰則期間は半分になりました。

オデスニック選手は他の選手のことを密告したのでしょうか?匿名を希望するある元テニス選手(彼はオデスニック選手とか関係がない)が、スター選手たちは他の同僚・ライバル選手たちを密告するようなことはしないという、テニスには暗黙の了解のようなものがあると明かしました。残念なことにITFはこのケースについて勝手にコメントはできません。

オデスニック選手の名前が、バイオジェネシスの書類にありました。バイオジェネシスは南フロリダにあるアンチエージング会社で薬物販売とも関係しており、ヤンキースのアレックス・ロドリゲスも捕まりました。

最も発展性のある事件は、やはり「オペラシオン・プエルト」でしょう。2006年スペインのエウフェミアノ・フエンテス医師は、テニス、サイクリング、サッカー、ボクシング、陸上競技と関わっており、巨大なドーピング組織を運営したことで捕まりました。
「オペラシオン・プエルト」の手入れでコード名が書かれたラベルが貼られた200個以上の血液を没収しました。

裁判はマドリードで今年初めに行われましたが、国際反ドーピング機関、イタリア反ドーピング機関、スペイン反ドーピング機関、ITF、がフエンテス医師の顧客リストを完全に明らかにするよう要求し、フエンテス医師はすべての血液採取サンプルを立証すると言ったのにも関わらず、スペイン裁判はすべての血液採取サンプルを破棄するように命令を下しました。プライバシー法のためと理由で。
懲役1年を命じられたフエンテス医師は、彼の顧客リストを最も高い値段を付けた入札者に売りたいと話しました。

WADAの広報は、期間が過去7年間の活動から反ドーピング管理に証拠を使うことは可能だと言いました。ミラー氏はITFが選手の名前を尋ねることはできても、すぐ断られると言いました。

アンディ・マレーはスペイン裁判の血液採取サンプルの破棄を命じた判定について「洒落にならない。スポーツ史上最大の隠ぺい工作?」とツィートしました。
そしてフエンテス医師の顧客リストに名前があると噂されるナダルは、簡潔に「血液サンプルの破棄は違反者の得にしかならない」と言いました。
彼は正しいです。トップ選手たち、とくにナダルがシニカルに見られるというのは不公平です。

ですが反ドーピング管理が本当に向上するまで、「オペラシオン・プエルト」のような訴訟は打ち切られ、それが2013年の現実です。
Grantlandのビル・シモンズが2月のコラムで、「PEDに関する質問を聞くことは大胆不敵」、「アスリートは我々をこのポイントまで押しました。我々はマシな薬物検査方法が必要です。血液検査が必要です。生態パスポートが必要です。これらは今必要なのです」

反ドーピングプログラムが立ち上がって、陽性反応を増やすことなく、出場停止者をなくすことは可能です。違反者を根絶させるか、科学的ドーピング違反者が検査側の上回り欺くことができるか、どちらかは知る由がありません。
「我々がテニスのドーピングの一つ一つすべてを検出していると考えるのは、甘いかもしれませんね」「しかし我々が諦めたわけではない」とミラー氏は言う。

出典 Tennis Has a Doping Problem : The Daily Beast

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